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2020.10.15

  • お知らせ

『ゆるキャン△』スタッフ対談インタビュー 第4弾 ~立山秋航さん(音楽)・村上純さん(音楽プロデューサー)~

2020年3月より『ゆるキャン△』チームへと配属されたフリュー株式会社の制作担当・綾野佳菜子氏が、『ゆるキャン△』を担当するスタッフ陣に体当たりでお話を聞いていくインタビュー企画。新担当だからこそ、ゼロからスタッフの方々にお話をお伺いしていき、『ゆるキャン△』の魅力を改めて皆様にお伝えできればと思います。

 

第4回は、『ゆるキャン△』の作品の空気感を彩るのに重要な音楽を制作しているチームより劇伴を制作している音楽ご担当の立山秋航さん・そして主題歌も含めて音楽チームを総括している音楽プロデューサーの村上純さんにお話をお伺いしました。

 

≪立山秋航さんプロフィール≫
『ゆるキャン△』シリーズの他に、『けものフレンズ』シリーズ他、数々のアニメ作品の劇伴制作を行う。「生演奏の躍動感」を大切に、生命力のあるサウンド作りを信念としている。≪村上純さんプロフィール≫
MAGES.所属の音楽プロデューサー/ディレクター。元劇伴作家で、TVアニメ『STEINS;GATE』や映画『GOTH』などの作品で作曲を担当している。

 

▼様々なテレビ番組でサントラを聞けるのが嬉しかった

 

綾野 まずは改めてですが、、立ち上げ当時『ゆるキャン△』に携わった経緯を教えて頂けますでしょうか?

 

村上 立山さんに関しては、劇伴作家さんをアニメのスタッフの方々にご提案する際に、何人か候補がいる中の一人として提案致しました。スタッフの皆さんに意見を伺った時に満場一致で立山さんでいこうという話になりましたね。

 

立山 村上さんと劇伴の仕事をさせていただいたのは、『ゆるキャン△』が初めてですよね。

 

村上 そうですね。歌ものとかのお仕事はやっていたんですけどね。立山さんにはデモ曲を事前にいくつかもらっていて、それがすごく良くて。『ゆるキャン△』にピッタリでした。

 

綾野 原作はどのような印象でしたか?

 

立山 原作をはじめに読んだ際に、セリフが少ないのが印象に残りました。読んだ時にセリフとか情報とか設定をたくさん見せていくのではなく、“間”があることでゆるい空気感が伝わる作品だなと感じました。

 

村上 “間”がある作品というのは、その分音楽が占める割合も多いです。全体的に景色が推されているシーンも多い作品なので、音楽を際立たせないといけないなとその当時は思いましたね。

 

綾野 それでは村上さんについてもお聞きしていきますが、最初に「音楽プロデューサー」というお仕事が、具体的にどういった業務をされているのかご紹介をいただけますでしょうか?。

 

村上 基本は裏方として動いていて、音楽回りの調整役をしています。監督やプロデューサーなどの意見を集約して、立山さんや主題歌の制作をしている音楽チームに伝達して、作品の世界観に合わせた楽曲になるように調整していく仕事ですね。

 

立山 主題歌の方向性も村上さんの方から監督などに提案しているんですか。

 

村上 まず一旦ヒアリングして、「こんな感じでどうですか」というように提案しながら話し合って決めていきますね。

 

綾野 とくに『ゆるキャン△』のように、主題歌と劇伴が違う作家さんになると、そこの調整というのも村上さんのキーポイントになるのではないでしょうか。

 

村上 昔のアニメとかでは劇伴をやっている方が主題歌も書いていたりしましたよね。最近はいろんなアーティストが歌うようになって、違う作家さんということも増えました。『ゆるキャン△』の場合は、オープニングもエンディングも作品にすごく世界観を寄せています。

 

綾野 劇伴はもちろん、主題歌も、アーティストの特徴によって、キャンプのワクワクだったり、静けさだったりの両面を見事に引き出して頂いたのではないでしょうか。続いて劇伴制作について、これはぜひお聴きしたかったのですが、立山さんはご自身で楽器演奏もされているんですよね!?

 

立山 自分で演奏出来る楽器に関しては演奏しようかなと思いまして。

 

村上 ここがやっぱり立山さんのすごいところで、とにかく様々な楽器を演奏されているんですよね。CDのブックレットとかを見ると分かると思うんですけど本当にすごい数で、マルチプレイヤーなんですよね。

 

≪『ゆるキャン△ オリジナルサウンドトラック』ブックレットより≫

綾野 作曲だけでなくて音作りまでこだわっているのですね。実際にレコーディングも見学させていただいたのですが、ミニマルなのだけど親しみやすい感じというか、あたたかみというのは、立山さんがご自身で演奏されているからこそ表現できたものなのかもとも感じました。

 

立山 そう感じてもらえるのは嬉しいですね。演奏に関して言うと厳密にいうと僕はプロの演奏家ではないので、本当に上手い方が演奏したら、また違うのだろうなと思いつつ、でもやれることは僕で片付けちゃおうと思ってやってきました。そこが一つの個性になっているかもしれませんね。

 

綾野 ぜひそんな面からも『ゆるキャン△』やサントラを観返して聴き返していただきたいですね。続いての質問ですが、実際に第1作目の音楽を収録されていくにあたって、京極監督やスタッフの皆さんからはどのようなオーダーがあったんでしょうか。

 

立山 アイリッシュを入れたいという大枠の部分は仰っていたのですが、こういう曲を書いてほしい、こういう楽器を使ってほしいという細かい指示はなく、ロケに行った写真を見せて頂いたり、ロケの雰囲気をお話し頂いたり、このキャンプ場がこの空気感だったというのをプロジェクターで見ながらお話をお聞きして制作していった形でした。

 

村上 最初の打ち合わせの時に、監督から印象的なお話があって、「皆もいいけど一人もいいよねというのを伝えたい」と仰っていて、それがすごく印象的で、ずっと心に残っていました。それが『ゆるキャン△』の音楽制作全体を通して意識していたコンセプトで。なのでオープニングとエンディングもそういう対比で出来たのかなと思います。

 

綾野 大枠とか印象の部分がスタッフでしっかり共有されていたからこそ、ディテールの作り込みや対比といった取り組みがばっちりはまったのでしょうね。『ゆるキャン△』では、キャラクターではなく、キャンプ場ごとにテーマ曲が用意されたわけですが、これはどういった意図で決まったのでしょうか。

 

立山 音楽打ち合わせの際に、スタッフ陣から、キャラではなくてキャンプ場にテーマをつけたいと言われました。最初は「どういうことなんだろうな?」と思いましたね(笑)。広さが違えば空気感も違うというのがロケに行ったスタッフさんたちは分かっていて、それを映像に落とし込みたいということだったと思うのですが、そこを掴むまでに少し苦労しました。

 

村上 僕もたくさん作品をやってきたのですが、こういったオーダーは初めてでした。最初はピンとこなかったですね。

 

綾野 テーマ曲の名前だったり、その曲が何のテーマなのかは、オンエア時はお客さんにはわからないものですが、結果的には大成功でしたよね。改めてお二人が気に入っているシーンをお伺い出来ますか。

 

立山 それを聞かれると思ったので今朝改めて本編を見てきました(笑)。やっぱり5話の夜景交換のシーンは一番だと思いましたね。このシーンは盛り上がりがじわじわ来るので、音楽も最初から飛ばし過ぎずに溜めて、溜めて……映像と同時に盛り上がっていく。という風に調節するのが大変でした。なでしこがテントから出て行って山に着いたところでまず一度盛り上がります。その盛り上がりを一度収めながら、今度は二人が夜景交換しているシーンで音楽もドーンと盛り上がっていった感じですね。

 

 

綾野 それこそ映画のフィルムスコアリングなんじゃないかとお客さんも盛り上がっていました。村上さんはいかがですか。

 

村上 5話の夜景交換のシーンや、1話の本栖湖のシーンももちろん良いのですが、2話の麓キャンプ場のテーマ曲が個人的にはすごく好きですね。リンがキャンプ場に向かうところで大きくかかっているのですが、風をすごく感じるように音楽と合わさっていたのがすごく好きでした。

綾野 サントラを聞いているだけでも情景が浮かぶというユーザーも多いと思います。お客さんからの評判を聞いた時どう思いましたか?

 

立山 単純にすごく嬉しかったです。音楽単体で「良い曲だね」と言われるよりも「この曲があったから作品がより良いものになったよね」と言われる方が嬉しいです。

 

村上 あと個人的には、サントラが様々なテレビ番組で使われていて、それもすごく嬉しくて、Twitterとかを見ていると皆さんが『ゆるキャン△』の曲だとツイートしてくれていて、それを見ることでそれだけ音楽と作品が定着しているのかなと感じさせられました。

 

綾野 アウトドアの番組ではもちろん、料理のシーンなどでもよくかかっていたりしますよね。

 

立山 最近は『へやキャン△』のサントラも様々な番組でかけて頂いているのでありがたいです。

 

▼“フェス”な音楽会と“コンサート”の音楽会

 

綾野 続いて、音楽会のイベントを2018年、2019年と開催しました。開催すると決めたときのお気持ちをお聞かせいただけますでしょうか。

 

村上 2018年は身延町の皆さんからオファーをいただきました。最初は「やりたいです」という気持ちだけで来られていました(笑)。僕らもどうしようかと悩んでいましたが、企画として面白そうだからやろうという話になって進んでいきました。結構手作り感のあるイベントでしたね。

 

立山 初年度はそうでしたね。

 

村上 ただ立山さんとは劇伴制作中からライブやりたいですねという話はしていたんですよね。それが放送した年から実現できたのがすごく嬉しかったですね。

 

立山 劇伴はなかなか生で披露する機会がないし、作品を見ないとその音楽に触れることが出来ないようなポジションです。生演奏して、お客さんに聞いてもらえるという機会はなかなかなく、僕自身も初めての経験だったので、嬉しかったですね。1回目は身延町の野外でやったので、夕方から夜にかけては寒くなっていて、少しハードな環境下ではありましたが、その中でお互い楽しみながら良いコンサートになったんじゃないかなと思います。

 

村上 やっぱり1回目にやった身延町でのコンサートと、2回目に渋谷でやったコンサートは種類が違いますね。身延町でやった時は景色とかも綺麗でフェスというような感じでしたが、渋谷でやった時は本当にコンサート・音楽会というような感じでしたね。音響やセットもしっかりしたものを用意いただいて、これはこれでよかったです。是非またやりたいなと思っています。

 

綾野 ぜひぜひ。私が担当になったからには第3回目を開きたいです。その時はぜひよろしくお願いします(笑)。

 

▼詰め込み過ぎない “余白”という魅力

綾野 続いて来年1月から放送される『SEASON2』など続編が発表された時のお気持ちをお聞かせいただけますでしょうか。

 

立山 一気に『へやキャン△』と『SEASON2』、『映画』が発表されたことがものすごく驚きました。

 

村上 「やったー」というのが第一印象でしたけど、今度はいったいどういうチャレンジをするのかなと考えると、楽しみ半分ドキドキ半分と思っていました。

 

綾野 私も『SEASON2』の音楽打ち合わせに入らせてもらっていますが、音楽に関してもみんな新しい取り組みをしたいと挑戦していっていて。そんな高いハードルの中で、各所のオーダーも軽々と上回ってくる音楽チームが本当にプロフェッショナルだなと思っておりました。

 

村上 もちろんスタッフからの難しい要望とかもあるんですけど、立山さん自身も毎回毎回チャレンジしていますよね。『へやキャン△』の時も思いましたが、民族音楽をより掘り下げていたりとか、新しい楽器を使ってみたりとか、立山さんの中でもそういう挑戦があるんだと思います。

 

立山 同じことをやっていると不安になりますよね。曲を聴いてもらった時に「また同じことをやっているな」と思われると悔しいじゃないですか。その反面、意外性のある新しい要素を詰め込み過ぎると散漫な仕上がりになるので、そこの塩梅はいまでも悩みます。

 

綾野 1作目ではキャンプ場のテーマという形であったのが、どういう風になっていくのか。ぜひ楽しみにしていただきたいところですね。ここに力を入れて作っていますというポイントを言える範囲でお聞かせいただけますでしょうか。

 

立山 1期以上に映像に音を合わせているところは多いかなと思います。『SEASON2』の音楽を作るにあたって、『へやキャン△』の時のフィルムスコアリングの経験はものすごく活きていますね。

 

村上 場面により密接に合わせている部分もありますよね。今回も新しい挑戦が音楽的にも入っているので、「おっ!」となるような新しい場面を見せられるんじゃないかなと思います。放送をお楽しみに。

 

立山 『SEASON1』『へやキャン△』があったから「『ゆるキャン△』の音楽と言えばこうだよね」というのは僕自身もつかんでいるし、当然ファンの皆さんやスタッフの皆さんもつかんでいますよね。そういった下地があるからこそ、新しい挑戦にも行きやすいんですよね。

 

綾野 先日『SEASON2』の特報(https://youtu.be/sZzz70nqyJg)も公開されました。特報で使用されていたテーマ曲についてはいかがでしたか。

 

立山 2020年6月に第一回の音楽打ち合わせをしました。その時にはまだ劇伴メニューが固まっていない段階でしたが「通常の劇伴に取り掛かる前に、まずは先にテーマ曲を先に作ってしまいましょう」という事になったんです。その後3パターンほど作って提案しまして、そのうちの一つがこの曲でした。他にも、デモ音源として完成はしたものの、監督への提案までには至らないと自分で判断したパターンも5曲ほどありまして、トータルで言うと8曲ほど作っていました。

いっぱい書きながら方向性を定めていった感じですね。

 

綾野 そして上がってきたのもすさまじいスピードだったのも記憶してます(笑)。

 

立山 テーマ曲は悩んでしまうとすごく時間がかかってしまうので、打ち合わせの時のテンションやインスピレーションが残っている内に、作って聴いてもらいました。

 

村上 主題歌のほうも順次制作中ですので発表をご期待ください。

 

綾野 ありがとうございます。最後になりますが、『ゆるキャン△』の魅力をお伺い出来ますでしょうか。

 

立山 “余白”ですかね。余白というのは音楽だけじゃなく『ゆるキャン△』すべてに通じていると思うし、そこが一番の魅力だと思っています。音楽もそうだし、脚本もそうだし、演技とかもそうだと思います。そこは各セクションのスタッフがこだわっているポイントじゃないかな。

 

綾野 “間”とか“余白”ですよね。

 

立山 余白を作ることで、「自分だったらこういうキャンプやるな」みたいな自分ごとにすることが出来るので、音楽でも音数を多くしすぎないで、そこに自分の考えや思いを巡らせてもらいたいですね。お客さんの脳内のイメージも作品の一部になっているんだと思います。

 

村上 そこは本当にそう思います。

 

綾野 余白を作ることで「自分ごと」になる…!たしかに追体験というのか、『ゆるキャン△』が多くの皆様に愛していただく絶妙な魅力はそこかもしれませんね。

 

 

**綾野コメント**

『ゆるキャン△』サウンドトラックは、じつはセールス的にも、現在の再放送中もリアルタイムで、非常に多くのお客様に長くご好評いただいています。「キャンプで聴きたい」「何度も繰り返し聴ける」「無心で聴ける」……とよくいただくご感想の秘訣。今回のスタッフインタビューでも多くのスタッフが『ゆるキャン△』の魅力として大切にしていることが分かってきた“間”。本来なら“間”をつなぐものこそがシーンとシーンをつなぐ劇伴であり、話数と話数をつなぐのも主題歌でありますが、その音楽チームさえ、埋めたくなるものを、あえて意識して余白を作り、「自分事にする」。そこまで考えているとは。『SEASON2』までももう少しお時間を頂きますが、そんな楽しみ方を意識して、“いまのご自分”で。観返して、聴き返してみても新しい発見があるかもしれません♪

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