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2020.09.07

  • お知らせ

『ゆるキャン△』スタッフ対談インタビュー 第2弾 ~黒田悠生さん(COMIC FUZ/まんがタイムきらら編集部 編集担当)~

2020年3月より『ゆるキャン△』チームへと配属されたフリュー株式会社の制作担当・綾野佳菜子氏が、『ゆるキャン△』を担当するスタッフ陣に体当たりでお話を聞いていくインタビュー企画。新担当だからこそ、ゼロからスタッフの方々にお話をお伺いしていき、『ゆるキャン△』の魅力を改めて皆様にお伝えできればと思います。

第2回は、『ゆるキャン△』の全ての始まりを知る、COMIC FUZ/まんがタイムきらら編集部の編集担当・黒田悠生さんにお話をお伺いしました。
 

≪黒田悠生さんプロフィール≫
2008年芳文社入社、現在はCOMIC FUZ編集部所属のぬるキャン△派。

 
 

▼超貴重な初期のネーム大公開!なでしこがお団子ヘアだった――


綾野 黒田さんは編集担当ということで、全ての原点といいますか、『ゆるキャン△』の始まりを知っているかと思います。初めてこの『ゆるキャン△』という作品があfろ先生からあがってきた時に、どのように思われましたか。

 

黒田 あfろさんはもともと、新しく創刊される雑誌に載せるために集めていた作家さんで4コマ作品を描いてもらっていました。デビューしてから、1作目、2作目と描いていただいたのですが、その時はまだあまり人気が出ず、どちらもそんなに長く続かないで終わってしまいました。他には、『魔法少女まどか☆マギカ』のスピンオフ作品も描いていただいて、コンテンツのパワーもありましたが、おかげさまでそれなりに反応が良い結果となりました。そうした中で、あfろさんにもう1作描いてもらいたいと思って、出てきたのが『ゆるキャン△』でした。

 

綾野 そこで誕生したのですね。

 

黒田 これまでにも4コマではなくコマ割りの作品を描いてもらったことがあって、その時はまだ慣れていなくて読みにくかったんですね。ただ『ゆるキャン△』の話を作るとなった時に出てきたネームが、すごくうまくなっていました。コマの割り方だったりとか、キャラクターの魅せ方だったりとか。こちらに歩み寄って描いてくれたところはあると思うのですが、そこで一段階段上がったなと感じました。今回はその時のネームの一部を持ってきましたよ。

 

≪初期の『ゆるキャン△』ネーム【キャラクター設定】≫

 

綾野 すごい貴重な資料ですね!?!?

 

黒田 初期の段階ではリンではなく、なでしこがお団子でした。

 

綾野 ホ、ホントだ・・・。

 

黒田 ネームの時点では、リンが主体ではなく、なでしこが主体で描き始めているんですよね。なでしこが引っ越してくるところから始まって、なでしこが富士山見に行ってリンに出会うというストーリーライン。話の大枠自体は変わっていないんですけど、ただ見せ方は今と全く違いますね。

 

綾野 たしかに・・・!!

 

黒田 紆余曲折あって、今の形に落ち着きました。でもそれはすごく良かったと思っています。

 

≪初期の『ゆるキャン△』ネームの一部≫

 

 

綾野 4コマでやるよりも、コマの大きさとか、スケール感みたいな所がすごくあっていますね。

 

黒田 見開きを使うのが上手いと思います。ネームを見た時に一つ覚えているのは、見開きを増やしてほしいと言った記憶があります。結果、最終的には2か所入っているんですよ。リンが林の中でキャンプするぞというシーンと、富士山が見えるシーン。

 

≪原作コミックスの見開きページ≫

 

綾野 先生のコマ割りがあったからこそ、アニメでも重要なシーンで風景を見せてセリフ外したりしている、開けた表現が出来たのかなと感じました。

 

黒田 アニメになった時に、原作のコマ割りから進化することがあるから、すごく面白いですよね。アニメの5話の夜景交換のシーンなんかも、原作だとあんまり大きくないコマだったりするので、アニメならではの解釈だなと思いました。日常に結構近いお話なので、どうしても緩急付けにくかったりするんですよ。単調だなという印象を持たれやすいので、そういう時に見開きとか扉ページは意識的に使ってもらっています。

 

綾野 そうやってネームが出来て、原作を連載していく上で、黒田さんが作品として大事にしていきたい部分はありましたか。

 

黒田 このマンガはもともと先生がアウトドアを描きたいと言った所から始まっているんですね。もともとバイクが趣味で、ツーリングをする過程でキャンプもしていました。「キャンプという文化の盛り上がりを感じるし、自分もキャンプをやっていて楽しいから、これを色んな人に伝えていきたい」というところから作品を描き始めていて、それってマンガにとってすごく大事なことだと思っています。自分の経験や伝えたいことが、その人の根本に基づいていて、そこから出てくるものは、マンガの本質にあるべきものだと思っているので、そこはしっかり表現して欲しいなとは思っていますね。

 

綾野 もともと描きたいものが経験に基づいていていたからこそ、本質的に伝わると。そんな先生と打合せする時に、心掛けていることはございますか。

 

黒田 あfろさんが描くネームは、基本的にはそんなにNGを出すことはないんですよ。ただ編集者はネームを最初に見る読者なので、読んでいる時の感覚は必ず伝えるようにはしています。なので見開きを入れる、入れないだったりとか、見開きにしてほしいといった、テンポに関わることはお話させていただいています。

 

▼1話V編会場でつぶやいた「これ売れると思うんだけど」

 

綾野 そういった形で立ち上がっていった原作ですが、原作2話の段階でアニメ化の企画があがってきたんですよね。

 

黒田 TVアニメの企画が僕のところまで来たのは、実はもっと後だったんですよ。一巻出した後ぐらいですね。その時点で、作品としての手応えは良い感じではあったので、最初に連載した4コマ漫画の2作品よりは長く続けられそうだなという感覚はありました。初めのほうはTwitterで読者がついているという印象をすごく持っていました。特にキャンパーというよりはツーリングライダーが盛り上がっていたり。なので、アニメの企画を聞いた時の印象は、「驚いたというより、意外とあぁー、上がってきたな」みたいな感じでした(笑)

 

綾野 ネットなどの読者の評価があって、いままでの作品よりちょっと手応えを感じていた中で、「アニメ化来たな」みたいな感じですか。

 

黒田 そうですね。

 

綾野 あfろ先生は、アニメの企画があがってきて、どういう反応をされていましたか。

 

黒田 あfろさんは、その時は浜松に住まれていて、そんなに直でお会いすることはなかったのですが、その時は直接、浜松まで行って話しました。「ありがたいです」というような反応でしたし、アニメ化するということは作品としても長く続けられそうだという、あfろさんなりにも作品の手応えを感じていたみたいなので、長い目で先を見たときに、こういう風に出来たらいいなみたいなことは考えているように見えました。あとは、アニメ化の話をしに行った際に、山梨に引っ越した方が良いという話はしたと思います。

 

綾野 引っ越しの話は黒田さんが仰られたんですね。

 

黒田 作品もおそらく長く続けられると思ったのと、その方が東京にも出てきやすいので、山梨に引っ越すのはどうですかと言った記憶はあります(笑)。

 

綾野 それで実際に引っ越されたのですね!?

 

黒田 本読み(シナリオ会議)に来た時にはもう引っ越されていましたね。

 

綾野 本読みなど実際にプロジェクトが進行していってどのように感じましたか。

 

黒田 『ゆるキャン△』の当時の本読みは13時~21時までやるのがザラでした。めちゃくちゃ長いんですよね。京極監督、シリーズ構成の田中さん、脚本の伊藤さん、プロデューサーの堀田さんや丸さん達と話していく中で、しっかりと作品について向き合っていただいているというのが、中身のある長時間の本読みだったからこそ伝わっていたと思うし、一生懸命作っていただいているというのは先生も感じていました。すごく励みにもなるというのもあって、先生が本読みに行けないときは録音しておいて送ってくれないかと言っていたくらいです。別にコミットしたいわけではないのですが、「作業にBGMとして聞きたいので」と言っていました(笑)。

 

綾野 制作が進んでいって、実際に出来上がってみてそれを特に感じたシーンはありましたか。

 

黒田 アニメのシーンというよりは、1話のV編(ビデオ編集:制作したアニメ映像を納品用にテープに収録する最終の作業)に行って、一通り見た時に、めっちゃ面白いなと思って、「これ売れると思うんだけどな」とつぶやいた記憶はあります。

 

綾野 より確信を持ったんですね。その後12話まで進んでいく中で一番の見どころなシーンを教えてもらえますでしょうか。

 

黒田 一番好きなのは1話かな。他の話数だと原作でいう2話分ぐらいが1話にまとまっているのですが、1話は原作の1話分を描いた、ゆったりと尺を取った回なので、贅沢に使っていただきました。1話の中でも特に、リンが頑張って自転車で登ってくるシーンですね。あれは実際にある道がモデルで、しっかり描いていただいて、キャンプに行くときのワクワク感をすごく感じました。実際僕もキャンプに行くのですが、キャンプで一番楽しいのはキャンプ場に着く直前だと思っているので、それが一番あのシーンに詰まっていました。

 

綾野 1話から贅沢な時間が流れていくのを感じつつ、物語は12話まで描かれました。話が進んでいく中で、お客さんからの評判などは、先生とお話をされたりしましたか。

 

黒田 僕はV編会場で感じた感覚をみんなが感じてくれてよかったなと思いました。あfろさんも、ファンの方々がモデル地を巡った話を見るのが多かったみたいですごく喜んでいました。自分が良いと思った所を描いているので、そこに皆行っていただいているのはすごく嬉しいと仰っていました。

 

綾野 自分の描いていたキャラクターに声が付くという所で、キャストさんについてもあfろ先生とお話されましたか。

 

黒田 キャラクターの声については、基本的にイメージ通りだったみたいです。あとは大塚明夫さんのナレーション。たしか女性のナレーションにするという話も出ていたのですが、あfろさんのイメージは男性の渋い落ち着いたナレーションがイメージだったんですね。そういうこともあって大塚さんになったのはすごく気に入っているみたいですね。ただ基本的には、アニメのことはアニメの現場の人が一番わかっていると思うので、アニメサイドに任せたいという意思は強いと思います。

 

綾野 そうやって任せてもらえるということは、アニメ側のスタッフとしてもある意味期待を裏切らないようにという所でもあると思います。良い信頼関係でやっているからこそ出来た作品なのかなとすごく感じております。

 

▼『ゆるキャン△』の魅力は非日常が日常に感じられる所


綾野 ここまでは1期のお話をお伺いしてきましたが、今年放送された『へやキャン△』をはじめ、今後『ゆるキャン△ SEASON2』、映画と続いていきますが、続編が決まった時の心境はいかがでしたか。

 

黒田 最初のアニメーションがすごく出来が良くて、素晴らしいものを作っていただいて、僕もあfろさんも、アニメでも続きが見たいと思っていたので、やっていただけるとなった時はすごく嬉しかったですね。

 

黒田 『へやキャン△』に関しては本編も良かったのですが、特典として収録された『SPECIAL EPISODE サウナとごはんと三輪バイク』がとても素晴らしかったです。たくさんの人に見てもらいたいものが出来上がってきたなと思いました。

 

綾野 サウナという題材もとても良かったですよね。現在制作が進んでおりますが、『SEASON2』で今後楽しみにしているところもお伺いできますか。

 

黒田 内容を知っているのもあるかもしれませんが、やっぱり第1話が楽しみですね。

 

綾野 アニメサイドの人間ですが、私もそこは楽しみにしています。それでは最後になりますが、『ゆるキャン△』の魅力を教えていただけますでしょうか。

 

黒田 『ゆるキャン△』は学校のシーンが非常に少ない作品なんですよね。ほとんどが私服かキャンプ場のシーンで構成されていて、学生にとっての私服って基本的には非日常で、そこがすごく身近に感じられるような作品づくりになっています。なので非日常が日常に感じられるような作品となっているのが魅力の一つじゃないかなと思っております。

 

 

**綾野コメント**

『ゆるキャン△』をゼロからあfろ先生と作り上げてきた黒田さんの立場から、アニメが原作を再現することだけでなく「アニメならではの解釈」にも挑戦していてそれが面白い、と評価していただいていることがとても印象的でした。
日々スタッフが非常に大切にしていることだと感じるので、ぜひ原作コミックスとアニメ両方お楽しみいただければと思います!
それにしてもなでしことリンの初期ネームは、あfろ先生のオシャレさと可能性のロマンに、仕事を忘れて大興奮してしまいました……(笑)

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