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2020.09.14

  • お知らせ

『ゆるキャン△』スタッフ対談インタビュー 第3弾 ~高寺たけしさん(音響監督)~

2020年3月より『ゆるキャン△』チームへと配属されたフリュー株式会社の制作担当・綾野佳菜子氏が、『ゆるキャン△』を担当するスタッフ陣に体当たりでお話を聞いていくインタビュー企画。新担当だからこそ、ゼロからスタッフの方々にお話をお伺いしていき、『ゆるキャン△』の魅力を改めて皆様にお伝えできればと思います。

第3回は、『ゆるキャン△』で物語を彩る上で忘れてはならない存在、音楽やSEを含めた音周りを総括されている音響監督・高寺たけしさんにお話をお伺いしました。

≪高寺たけしさんプロフィール≫
音響監督。アウトドア系の主な代表作は「ゆるキャン△」の他
「ばくおん!!」「弱虫ペダル」「恋する小惑星」「放課後ていぼう日誌」など

 

▼キャスティングは無理なく演じられる方を選んだ

綾野 まずは原作を初めに読んだ時の第一印象をお聞かせください。

 

高寺 キャラクター達が絵柄的にもかわいく、ゆるい雰囲気があるのですが、キャンプの描写がすごく本格的だと感じました。キャンプの段取りや食べ物なども細かくしっかりと描かれていて、本格的にキャンプをやられている方が見ても面白いと思えるというのが第一印象でした。他には、作中のSNSでのやり取りの描写がすごく良く出来ていて、女の子たちの掛け合いが絶妙に描かれていますよね。

 

綾野 ちなみにお仕事以外でマンガは読まれるのですか。

 

高寺 昔は読んでいましたが、最近はそこまでです。『ゆるキャン△』についてはお仕事をいただいてから読みました。でも普通に肩肘張らずに面白く読ませていただきました。

 

綾野 『ゆるキャン△』は女の子たちがキャンプをするマンガですが、普段アウトドアはされますか。

 

高寺 スノーボードと釣りをしています。キャンプも本格的ではないですが、管理釣り場など、キャンプ場併設のところで釣って調理して食べるみたいなことは皆でします。リンみたいに冬にソロでということはないですが(笑)。アウトドアは結構好きです。

 

綾野 普段アウトドアをされているので読んだ時にしっかりされているなと思ったということですね。

 

高寺 そうですね。ランタンとかヒーターとか、テントの形とか一つ一つ見ても、すごく細かく描かれていて、「実際にキャンプ場とかで見かけるものだ」という風に思いました。

 

綾野 そんな原作との出会いもありつつ、『ゆるキャン△』のお仕事をされていくわけですが、根本的な質問で恐縮ですが、どのようなことをされているか分からない方もいるかと思いますので、音響監督というお仕事についてお伺いできますでしょうか。

 

高寺 セリフと音楽と効果音という音響の三要素があるのですが、そういった音に関することを専門的に見る監督のことを指します。音に対してはこの作品の監督である京極さんと、同じ監督という立場で対等に意見を言って作品を作っています。そこは京極さんと上下無く言い合える関係を作っているつもりです。お互いに意見を言ったり、相談することで良いものが作れればと思っております。

 

綾野 なるほど。最初はどのような作業から始まりますか。

 

高寺 まずはキャスティングですね。オーディションから始まって、キャストを決めていく作業があります。それと並行して、作品内で流れる音楽の発注などもしていきます。

 

綾野 どちらも作品のイメージが左右される大事なことですね。キャスティングについてはどのように決まったのですか。

 

高寺 『ゆるキャン△』は劇的な芝居をするわけでも、喜怒哀楽が激しいキャラが出てくるわけでもなく、ふわっと日常が過ぎていくみたいな話が多いので、キャストの皆さんは無理なく演じて棲み分けできる方にしようということはもともと考えていました。それぞれのキャストさんは演じる際、もちろんキャラは作るのですが、違和感なく差別化出来るというところを中心に見ていました。

 

綾野 キャスティングの段階から、そこは結構本質的に見ていたということですね。

 

高寺 そうですね。女の子ばかりの作品ということもあるので。一番困るのが、目を瞑って聞いていると誰が喋っているのか分からなくなってしまうことだと思うんですよ。そうなってしまうのはいかんなと思っていたので、そこは気を付けて決めていきました。

 

綾野 なるほど。私は結構意外性も感じました。例えば豊崎さんが少しお姉さん系で関西弁のあおいを演じていたりとか。

 

高寺 そこはたまたまですね。豊崎さんが関西弁で喋るキャラは意外とやっていないというのは後になって聞きました。ただあえて普段やっていない役をやってもらうという考えはなく、それよりもバランスでちゃんとハマる人というところで決めていったのですが、結果それが意外性のあるということになったみたいですね。

 

綾野 パズルのピースがはまっていったということですね。ちなみに『SEASON2』から登場する綾ちゃん(土岐綾乃)を黒沢ともよさんが演じると先日発表されましたが、そのあたりもお伺いできますでしょうか。

 

高寺 5人のキャラのバランスが良く、うまく分かれていたので、綾乃というキャラをどうするか悩んでいましたが、5人とはまた被らないようなキャラに出来たんじゃないかなと思っています。選び方のポイントとしても、5人とは違うアプローチを見られるかという部分を気にして、結果オーディションで黒沢さんになりました。どんな感じになったかは聞いてのお楽しみという所で。

 

綾野 そうですね。ここは楽しみにしてほしいところですね。そんな中で、『SEASON2』のアフレコも進んでいるのですが、実際に演技面のディレクションをされる際に、心掛けていることはございますか。

 

高寺 声優さんは”リン”なら”リン”、”なでしこ”なら”なでしこ”という、それぞれそのキャラにフォーカスして準備されてくると思います。まずは各々のプランを出し合って演じてもらい、その意見を採用することもありますし、我々の意見を通してもらうこともあります。皆で相談しながら一緒に作っていこうと思ってやっています。

 

綾野 監督もこだわりが強いと思いますし、役者の皆さんも作りこんでくるタイプの方が多い中、限られた時間の中で音響の監督として進めていかないといけない。そこが難しいだろうなというのは見ていてすごく思います。

 

高寺 そう言われればそうですね。ただそこが面白い仕事なのかなと思います。相手が人間なので、極端な話どれが正しいということもないので、信頼関係があればベストの方に動いていくんじゃないかなと思います。

 

▼キャンプ場一つ一つが個性のあるキャラクター

綾野 『ゆるキャン△』が放送されていって、改めて振り返っていければと思うのですが、ご自身が気に入っているシーンやおすすめしたいシーンなどお伺いできますでしょうか。

 

高寺 やっぱり第5話のなでしことリンが夜景交換をするシーンですね。そこが前半のキモだとずっと聞いていたので、印象に残っています。特に『ゆるキャン△』は全般的にそうなのですが、音楽にすごいこだわりがあって、音楽の方向性を決めるのにも結構時間が掛かりました。劇場版ではないので、映像が出来てから音楽を作るということはさすがに出来ないため、コンテの段階でこういう風にしたいという構成を、劇伴音楽をご担当されている立山秋航さんに伝えて作ってもらっています。5話に関しては、特に結構やり取りをしました。絵と音を気持ちよくつなぐならこういう風にした方がというのを伝えて、カッティングし直したりもしました。プロデューサーの丸さんに、5話のダビングが終わった後、「いやー良かったですねー。ありがとうございました」と言われたのは心に残っています。

 

綾野 音楽とのハマりが本当に気持ち良いですよね。ダビング前に音楽を合わせた映像を京極監督に送っていたというお話もお聞きしました。

 

高寺 そうですね。僕が思う音楽の貼り方や選曲などと、監督の意見が近いのか遠いのかということもあるので、事前にお渡しはしていました。話が進むにつれて監督の意向とかも段々分かってきました。

 

綾野 そういう作り方だったのですね。他には、食事のシーンもみどころですよね。

 

高寺 そうですね。食事のシーンは第1話でカレー麺を食べているところ。あれで方向性がだいたい決まった気がしますね。すすって食べて飲んでみたいにすごい細かく描かれていますよね。なでしこにしても、リンにしても、食べるアドリブの演技がものすごく上手いです。

綾野 どんどん上手くなっていったんですね。

 

高寺 本当に食べているのかというくらい美味しそうに見えますよね。

 

綾野 喉の音が鳴らないようにするということをお聞きしたのですが、それはリアルになりすぎないということですか。

 

高寺 リアルとデフォルメの中間みたいなところですね。かわいい女の子たちが描かれているので、あまりリアルになりすぎてもとは思っていました。実際にモノがあるわけではないのですが、美味しそうという感じと、可愛さのバランスがすごく上手いなと思います。

 

綾野 キャンプの焚き火のシーンなんかも素敵ですよね。ここは音響効果さんになるかもしれませんが、実際ロケ地に録りにいくのですか。

 

高寺 そうですね。ここは効果さんになります。実際のロケ地ではないのですが、虫が鳴かない冬に音を録りに行ったりはしていました。あとはバイクの音ですね。リンが乗っている原付とかもそうですが、車とかバイクなどのメカニックについては特殊な音も多いので生音を録っています。

 

綾野 音も結構こだわりを感じているユーザーさんも多かったと思います。『SEASON2』もいろいろ録りに行くことになりそうですね。

 

高寺 そうですね。またあれば録りにいかないとですね(笑)。

 

綾野 そのようなこだわりを持って作って頂いて、『ゆるキャン△』が完成していったわけですが、お客さんからの反応はどう感じましたか。

 

高寺 僕はあまりSNSとかを見ないので、どういう風に言われているかはあんまり知らないんですよね。ただ普通に仕事をしていて、『ゆるキャン△』見ましたと言ってくれる関係者の方は多かったです。そして、今までにないパターンとしては、「キャンプを始めました」と報告をしてくれる人も多くて、そういったところでも反響を感じました。

 

綾野 キャンプという部分では、それこそキャンプ場ごとにテーマ曲がありましたよね。

 

高寺 アニメの音楽は、普通の作品だとキャラクター自体や心情にテーマがつくことが多いのですが、『ゆるキャン△』に関しては、そういう方向ではないなという話になりました。どのようにするか悩んでいる時に、プロデューサーの丸さんからキャンプ場ごとに曲をつけるというアイデアを頂きました。制作の方々は全部のキャンプ場へロケハンに行かれていて、その時にキャンプ場の一つ一つに個性があってキャラクターみたいだとお聞きして、そのアイデアはすごく面白いと思ったので、立山さんにキャンプ場ごとで制作いただいた形になります。

 

綾野 立山さんとはどのようなやり取りをされていたのですか。

 

高寺 立山さんとは前に別の作品で一度お会いしていて、すごく丁寧にやってくださる方と分かっていました。キャンプ場ごとのテーマが出来たのは、立山さんの力がすごく大きかったです。実際にコンテムービーに音楽を貼り付けてプレゼンもしてくれました。そんな作家さん中々いないだろうと思います。立山さんではなかったらここまで細かく対応できなかったかもしれないし、感謝しています。立山さんはすごく苦労されたと思いますが(笑)。

 

▼『SEASON2』でも新しいことにチャレンジする


綾野 アウトドアの経験もあると先ほどお聞きしましたが、そのような経験が作品に活かされたことはございますか。

 

高寺 車やバイクがもともと好きで、16歳と18歳で免許を取っていました。なので2スト、4ストやシングル、ツイン、マルチなどバイクまわりの音はすぐに分かりますね。

 

綾野 聞き分けが出来るんですね。そこのこだわりは作品だけでなく、ご自身のこだわりも強いんですね。

 

高寺 そうですね。そこはやっぱり聞く人が聞くとすぐに分かっちゃうので。

綾野 なるほど。続いて絶賛制作中の『SEASON2』についてもお伺いできればと思います。続編というところではございますが、何か新しい挑戦などはございますか。

 

高寺 続編は難しいことも多いですよね。前作と同じことを100%でやっても、今回は100%にならないんですよ。そういったこともあるので、色々と新たなチャレンジはしようと思っています。前作はキャンプ場がキャラクターとしてやっていたのですが、『SEASON2』ではそれぞれのキャラクターの内面も出てきたりするので、今まで出てきたキャンプであったり、北欧チックな音楽みたいなところは大切にしながらも、新たな方向を取り入れていければと思います。

 

綾野 アフレコも数話終えられていますが、最後に見てほしい部分をお伺い出来ますでしょうか。

 

高寺 アフレコは綾乃が新たなキャラクターとして出てきますが、話としては『ゆるキャン△』の時から一週間ぐらいしか経っておりません。僕らは2~3年空いてしまっていますが、物語としてはすぐあとの話なので、キャラは逆に変わってはいけないんですよね。ある意味変わらない良さと言いますか、キャラがブレていないというところも楽しんでほしいです。

 

 

**綾野コメント**

声(=キャスティング、ディレクション含む)と劇伴(=劇中音楽のこと)と効果音という、『ゆるキャン△』シリーズに欠かせない音響要素を取りまとめる高寺さん。ご自身の、バイクの聞き分けができるほどの音へのこだわりや、アウトドア経験も、『ゆるキャン△』のリアルさに根差していることが取材を通してひしひしと分かりました。音響関連では引き続き、音楽チームにも取材をしていきたいと思いますので、公開をぜひお楽しみに!

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